徒然

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タイバニ連載

JUGEMテーマ:趣味


根暗話の続き。今回、幕間的な感じです。
しかし虎徹さんもバニーちゃんも人となりが結構ひどい。
これだけ書くのに一か月以上かかってる、相当なスランプです。

これから夏新刊のプロット切ります(そしてきっとその通りにはいかない)









暗夜行路 2
 ブルックス夫妻殺害事件の犯人、ジェイク・マルチネスは死んだ。あいまいな部分は残るものの、バーナビーの目的は、ひとまず遂げられた。
 


悲劇的な過去を持つヒーロー。街を救った英雄。何よりも金髪碧眼の美丈夫。バーナビーの周囲には以前にもまして美しい蝶達――妙齢のレディ達が群れ集うようになった。そのうちの何人かとは実際に『お付き合い』もあった。
『彼女』がいればそちらを優先する。だからと言って虎徹がバーナビーの『相棒』であることは変わりなく――やがて彼女達は気付くのだ、『自分以外』の誰かの方がバーナビーとの距離が近いことに。そうして『彼女』が冷めて間柄が切れると、再び爛れた関係が復活する、要するに虎徹とバーナビーは都合の良い『セフレ』という付き合いが続いていた。
けれどそれにふたりは何ら問題など感じていない。身体の相性が良い、ただそのために惰性で繋がっているに過ぎなかった、はずだった。

均衡を崩したのはバーナビーの方。

彼は虎徹の身体だけではなく、心まで欲しくなった――『恋人』として欲するようになったのだ。
いつから。どうして。
そんなこと、それこそバーナビー自身が知りたい。
けれど二十年という時を費やした悲願を達成し、突如人生の目的を失ったバーナビーの前に立ち、まばゆい世界に足元もおぼつかない自分に手を伸ばしてくれたのは虎徹だったのだ。
『綺麗だろう、楽しいだろう、お前が今いるところはこんなにきらきらした場所なんだ』
手を引いて連れ出してくれた世界のなんと美しいことか。にぎやかな音に満ち、よい香りを漂わせ、口にするものすべてに複雑な味がある。
――僕は生きている。
生きて、未来があって、前に進んでいける。その自由と誇らしさと。言葉にできないすべて。
その道しるべとして虎徹がいる。
そう自覚した時、バーナビーは自分が彼に恋をしていると思い知った。会社命令で組まされたコンビ相手のロートルヒーローはいつの間にかバーナビーにとってかけがえのないもの――生涯を共にしたいパートナーになっていた。
当然独占欲も生じる。
目的を達成するためには手段を厭わない。両親の死の真相を追い求めたエネルギーのすべては、虎徹を自分のものにするためのものへと変った。

『愛しています』
『僕のパートナーに、人生の伴侶になってください』
まわりくどい言い方では虎徹には通じない。バーナビーは言葉を飾ることもせず、直球を叩きつけた。
が。
虎徹はひどく曖昧な、それでいて冷酷な笑みを浮かべた。
「NO」
たったひとこと。切り捨てるように。
断られるという選択肢を持たなかったバーナビーが唖然としている間に、虎徹は目の前から消えていた。


だというのに、ベッドに誘うと乗ってくるのだ。唇を重ね、舌を絡め、肌を合わせ、濃厚な時間を過ごし。
朝になる前に、いなくなってしまう。
――いったい何を考えているのかわからない。

この人の愛情は左の薬指に光る指輪の対の持ち主に捧げられている。
でもだからといって諦めたくはない。だってそのひとはとうに鬼籍に入っているのだから。
――生きている自分の方が、絶対に有利だ。

欲して。望んで。乞うて。
表面上は変わらぬ付き合いを続けながら、バーナビーの心は軋み、歪む。それでもあきらめきれず、虎徹を思う気持ちは大きく膨れるばかり。
けれどそのすべてを封印しなければならない事態が起こる。


のちに『マーベリック事件』と称されることになる事件である。

事件そのものは語りつくされた感がある、事実も明らかだ。だというのに真実はどこにあるのかいまだにわからないという得体のしれない一件。
バーナビーにとって両親を殺害した真犯人が『養父』と言っていい人物だったことも衝撃だったが、それよりも、自分が『愛している人』を忘れ、殺すつもりで攻撃を仕掛けた事実がショックだった。
――いくら口で『好きだ』と言っても、これでは・・・・・・。
能力のせいだとはいえ、簡単に虎徹のことを、『愛している』とことあるごとに告げた人を、殺そうとしたなんて。
虎徹が許してくれても、自分自身が許せない。ヒーローであることも、何もかもが。
そしてバーナビーは焼けつく思いを抱えたまま、異国の空へと旅立った。


世界は広かった。そして『知識』と『実体験』がどれほど違うものか、思い知らされた。灼熱の砂漠、極寒の凍土。周囲を見渡しても何も見えない青い海。
風の、水の、土のにおいも様々。太陽の光、星のまたたき、どれひとつ同じものはない。
夢中になって追いかけて。振り返って、声をかけようとして我に返る。

誰もいない。自分はひとり。
たまらなくなって、泣いた。

 
 どこへ行くあてもなく、ぼんやり空港でニュースを見ていて、バーナビーは思わず立ち上がった。
 白と緑のヒーロースーツが画面をかすめたのだ。
 その瞬間、行き先は決まった。


再び『タイガー&バーナビー』が星の街を駆け抜ける。
バーナビーが新オーナーの企てに引っかかって別の相手とコンビを組まされたり、虎徹が解雇されたり。ふたりの間はまた隔たった。紆余曲折の末の再々結成ののち、バーナビーは決めた。何が何でも虎徹から二度と手を離さない、誰にも渡さない、と。
けれど彼は相も変わらずベッドへの誘いは断らないものの、求愛には堪えない。仕事上はともかく、プライベートでは『身体の付き合い』以上の関係にはならなかった。
ロイズに言い含められたらしく、以前より熱心にパーティや芸能関係の仕事に精を出すようになった。そうすると彼の見目の良さや人懐っこさが評判を呼び、ますます人を引き付ける。
バーナビーのもとから、離れていく。
――身の内が焼けつくようだ。
どす黒い思いを噛み締める青年を誘惑したのは、『魔女』だった。
| Key | 更新 | 22:44 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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